インターネット上で、映画や音楽などを不特定多数の人が手に入れられる、ウィニーと呼ばれるファイル交換ソフトを使って著作権が侵害されている問題で、このソフトを開発した東京大学の助手が、著作権法違反のほう助の疑いで逮捕されました。インターネット上には、違法な映画や音楽などのコピーが氾濫し、ウィニーはその温床の一つになっていると指摘されていました。警察が、摘発に踏み切った経緯などについて、京都からの報告です。 逮捕されたのは、東京大学大学院情報理工学系研究家の助手、金子勇容疑者です。金子助手は、インターネット上で映画や音楽などを不特定多数の人が手に入れられるウィニーと呼ばれるファイル交換ソフトを開発して、自分のホームページで公開、違法なコピーのやり取りを手助けしたとして、著作権法違反のほう助の疑いが持たれています。 ウィニーはネット上で、誰もが簡単に無料でパソコンに取り込むことができます。 ウィニーを取り込めば、このソフトを持つもの同士が。ネットを通じて、映画や音楽などを簡単に交換できます。 金子助手は、このソフトを開発するに当たって、インターネットの掲示板に再三書き込みをしていました。一昨年4月、ファイル交換ソフトを作る、と宣言し、さらに「ソフトを交換しても、作者の逮捕は無理だ」「現行犯じゃないと逮捕できない」などと書き込み、摘発が難しいソフトであることを強調していました。警察は、著作権の侵害に使われるソフトであることを十分に認識していたものと見ています。 警察は、掲示板に書かれたアドレスの通信記録を分析するとともに、去年11月に摘発された、ウィニーを使った著作権法違反事件の関連で自宅を捜索しました。その結果、金子助手が、ウィニーを開発し、書き込みをしていたことをつきとめました。 金子助手は、摘発を逃れるために、ウィニーを236回に渡って改良していたということで、警察は、著作権を侵害するソフトを意図的に開発したと判断し、逮捕に踏み切りました。 大量のデータを瞬時にに送信できるブロードバンドの普及を背景に、インターネット上には違法な映画や音楽などのコピーが氾濫しています。その一方で、ウィニーのようなファイル交換ソフトは、個人の研究データや自作の音楽などを自由に交換できるメリットがあります。
金子助手は容疑を認めた上で「今の著作権のあり方に疑問を感じていた。自分の行為が結果的に法律とぶつかってしまうので逮捕されても仕方がない」などと供述しているということです。警察は、ウィニーの開発の経緯や動機などについて、さらに詳しく調べることにしています。 |